腋臭症(ワキガ)とは
ワキガは不潔だからではない
腋臭症、いわゆる「ワキガ」とは、わきの下から特有のにおいを発する状態のことを指します。ワキガは不潔だから生じているのではありません。毎日清潔にしていてもワキガのニオイがする人はいますし、逆にシャワーや石鹸で洗うことに無頓着な人でも全くニオイがしない人もいます。これには理由があります。
ワキガの人は必ず耳垢がウェットタイプ
腋臭症(ワキガ)は、ある素因を生まれながらにもった方にのみ起こります。このワキガになる素因とは、アポクリン汗という特殊な汗をたくさんだせるかどうか、日本人では16%の人がアポクリン汗を分泌することができる=つまりワキガが生じやすいということになります。この16%に当たる方が多かれ少なかれワキガを持っているとされています。
アポクリン汗を出せる人(ワキガになりやすい人)は耳垢が湿っているウェットタイプであり、耳垢がペースト状をしています。一方ドライタイプの方では耳垢はクッキーの粉のような、乾いたサラサラした状態です。
耳垢がウェットタイプでもワキガにならない人もいる
耳垢がウェットタイプで脇からアポクリン汗を出せる人でも、全員がワキガになるわけではありません。ワキガの原因はアポクリン腺が特定の細菌とあわさることで、ワキガ特有のスパイシー臭や硫黄臭を発生します。これらの特定の細菌と合わさることがなければアポクリン汗は無臭です。
日本と欧米の違い
欧米ではウェットタイプの方が遺伝的に多いため、ワキガは生理現象として一般的なものと認識されています。一方で日本やアジアではこのウェットタイプの方がもともと16%と少ないため、ワキガがあるとどうしても目立ちます。
アポクリン腺とエクリン腺
ヒトの汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺という2種類の汗腺があります。エクリン腺は全身の皮膚に存在し、暑い時などにサラサラとした汗を出します。この汗は99%が水分で、においはあまり気になりません。一方、アポクリン腺はわきの下や陰部など特定の部位に存在し、その汗に含まれる脂質・タンパク質が皮膚表面の細菌の作用で分解され特有のにおいを生みます。ワキガの原因となるのは、このアポクリン腺から出るベタベタした汗です。この汗に含まれる皮脂(低級脂肪酸)がワキに常在している特定の細菌と出会うと、強いにおいを発します。